玄関の上がり框とは?知りたいメリットや役割、事例をご紹介!
「玄関の上がり框(かまち)」と聞いて何のことか分かりますか?
玄関の上がり框とは、玄関で靴を脱いであがる段差の側面部分に張り付けられた板のことを指します。
日本では多くの住宅に存在するので、名前を知らなくてもすぐに想像はつくかと思います。
玄関の上がり框がどんなものかイメージできても、何のために必要でどんなデザインがあるのかあまり分かりませんよね。
今回は玄関の上がり框の魅力についてご紹介いたします。
■上がり框の役割
まずは上がり框のもつ役割についてご紹介いたします。
・コミュニケーションの場に
上がり框は古い建物でも見られるように、日本の住宅には欠かせない存在です。
近所の人と玄関に座り込んでおしゃべりできるのは、上がり框があるおかげです。
上がり框がないと、むき出しの木材でトゲが刺さってしまいます。
非常に細かいことですが、安全に玄関を使うためには上がり框が必要なのです。
・玄関の顔
上がり框は、玄関の顔です。
玄関を開けてまず視界に入るのは、上がり框を含む室内です。
靴を脱ぎ、最初に触れる場所が上がり框となります。
上がり框は住人を迎える顔と、客人を迎える顔としての役目があります。
■上がり框のメリット
日本の家は、上がり框のある玄関がほとんどです。しかし最近は、上がり框のない家も増えてきました。
そこで、上がり框がない場合とある場合のメリットをご紹介いたします。
・上がり框がない場合のメリット
<バリアフリー化できる>
上がり框のない玄関は、バリアフリー化に対応しやすくなります。
車椅子を利用するときはもちろん、高齢者が段差につまずいて転倒する可能性を減らせるので、家族の安心につながるでしょう。
<掃除が簡単>
上がり框がない場合は掃除ロボットも使えるので、玄関掃除が楽になります。
自分で掃除をする場合でも、凹凸がないので掃除の手間がかかりません。
<空間を広く見せることもできる>
段差がないので、玄関を入ったときに空間が広く見えます。
部屋に続く床の素材を土間と揃えると、海外風のおしゃれな雰囲気に仕上がるでしょう。
・上がり框がある場合のメリット
<雨の水滴や汚れが家の中に入らない>
段差があるため、雨の水滴や靴の裏の汚れが部屋に入りません。
外からの汚れを部屋に持ち込まないので、雨の多い時期や砂埃が気になるときも安心です。
<靴の脱ぎ履きがしやすくなる>
段差に腰をかけられるので、椅子がなくても靴の脱ぎ履きが楽になります。
特に、幼い子どもや高齢者も転倒リスクがなく、快適に過ごせるでしょう。
<靴を脱ぐ場所がわかりやすい>
上がり框の存在によって玄関と部屋を区別しているため、境界線がなければ靴を脱ぐ場所がわかりません。
来客のたびに靴を脱ぐ場所を教える必要もないでしょう。
■理想の上がり框で快適な玄関へリフォーム!
上がり框には、さまざまな形や素材があります。特徴を把握し、住宅に適したものを選びましょう。
・上がり框にはさまざまな形状がある
上がり框の最も一般的な形はストレートタイプです。これは名前の通り、段差の縁部分が直線状になっています。
曲線になっているカーブタイプや斜めラインタイプはデザイン性の高さが特徴で、最近よく用いられるようになりました。
また、この他にL字型やコの字型の上がり框もあります。
・素材によって特徴や印象が異なる
上がり框に使用される素材は主に3種類です。
<木材>
上がり框の定番ともいえる素材が木材です。木材にも種類があるので、どんな種類を選ぶかでも印象が変わります。一般的にはフローリングと合わせることが多いものの、フローリングのデザインを際立たせたい場合は、あえて目立たない種類を選ぶ方法もありますよ。
<石材>
高級感のある石材の上がり框は、格調高さを演出してくれます。耐久性に優れていることも魅力の一つです。
よく使用されるのは大理石と御影石で、土間と上がり框の石材を合わせるデザインが人気です。
<タイル>
デザインにこだわりたいなら、石材よりもタイルがおすすめです。タイルはデザインや種類が豊富にあるため、好みに合わせて選べます。また、土間部分をタイルにしたい場合は同じ素材の上がり框にすることも可能です。
・上がり框の高さはどうやって決める?
上がり框の高さには特に決まりはありません。そのため、自分や家族が使いやすいと感じる高さに設定できます。
一般的には10~300mmの高さが多い傾向にありますが、家族に小さなお子さんや高齢の方、要介護の方がいる場合は、高いと使い勝手が悪くなることも考えられるでしょう。
国土交通省のバリアフリー住宅では、戸建て180mm以下、集合住宅110mm以下と基準が設けられています。もし基準よりも高くしたい場合は、腰を掛けられる場所を設けるなどの工夫が必要です。
また、以前暮らしていた住宅の上がり框と同じ高さにすれば、違和感なく利用できます。
■上がり框のリフォームに必要な費用と工期
上がり框のリフォームに必要な費用や工期は下記を参考にしましょう。
・上がり框をリフォームする目安
上がり框のリフォームは上がり框部分に傷みが目立つようになった場合だけでなく、バリアフリー化をしたい、おしゃれにしたいなどの理由で行われることが多いリフォームです。
上がり框は住宅の中でも頻繁に人が利用するので傷みやすく、劣化を放置したことでシロアリ被害を受けてしまったという事例もあります。また、木材を使用している場合はトゲなどでけがをするリスクもあるため、傷みが目立つようになったらできるだけ早くリフォームをしましょう。
・上がり框リフォームの費用
上がり框のリフォームは使用する素材や、玄関の広さなどによって費用が大きく異なります。
小規模な上がり框であれば5万円程度からリフォームが可能です。特にリフォーム専用のリフォーム框を使用する場合は、既存の上がり框の上から張り付けるだけなので費用を抑えられます。
規模が大きな玄関には50万円以上の費用がかかることも珍しくありません。場合によっては100万円以上かかることもあるため、まずはリフォーム業者に見積もりを依頼しましょう。
・上がり框リフォームの工期
規模が大きくなければ、上がり框のリフォームは1日程度で完了します。しかし、上がり框だけでなくフローリングや、タイルの張替えなども行う場合は長くかかることもあるでしょう。
特にデザイン性が高く、大規模な玄関のリフォームは1か月以上かかることもあります。工期も事前にリフォーム業者へ確認しておきましょう。
■上がり框のポイント
ここからは上がり框をリフォームする際のポイントを3つご紹介いたします。
・高さについて
実は上がり框には高さ制限があります。
●国土交通省によるバリアフリー住宅の基準:戸建てで18㎝以下、集合住宅で11㎝以下
上がり框を作る場合、必ず規定に則った高さが必要です。
もし18㎝より高くなってしまう場合は、式台を設置して段差を解消することが必要とされています。
ご年配の方や、幼いお子さんがいる家庭なら10㎝以下にしておくと転倒のリスクを下げることができます。
・使う材質について
上がり框は人が昇り降りする際の体重や踏み込みによる負荷がかかる部分なので、強度と耐久性の高い素材でなければなりません。
一般的によく使われているのは木材ですが、大理石などの石材を用いるケースもあります。
玄関の顔ですから、おしゃれな素材を選ぶことも重要ですね。
・バリアフリーを意識するなら手摺りや踏み台を
バリアフリーを意識したリフォームをするのであれば、段差以外にも目を向けましょう。
手摺りを取り付けたり、必要に応じて踏み台や式台を設置することもおすすめです。
座った体勢で靴の脱ぎ履きができるように椅子を置いたり、一部分だけ高さのある上がり框にするというのもおすすめです。
■上がり框がおしゃれに見える演出
上がり框は工夫次第でおしゃれさが際立ちますので、演出方法をご紹介いたします。
・間接照明
上がり框の素材は豊富なので、理想の仕上がりに合わせて好きなデザインが選べます。
高級感や遊び心、温かみを加えたいときは、間接照明を使うのがおすすめです。照明を設置する場所、数、光の色によって見え方が異なるほか、昼と夜の雰囲気が変わるため、1つの上がり框で2つの表情を楽しめるでしょう。
・玄関マット
玄関マットを定期的に交換するだけでも雰囲気を変えられます。
イメージの違うデザインをいくつか用意しておけば、気分や季節に合わせたおしゃれを手軽に演出できるようになるでしょう。
・シューズボックス
シューズボックスは表面積が大きく、素材や色によっては存在感を放ちます。
玄関をすっきり見せたいときは、上がり框と同じ見た目のものを選ぶのがおすすめです。
たとえば、上がり框とシューズボックスを同系色の木目素材で統一すると、ナチュラルで温かみのある玄関に仕上がります。全く同じ素材のものがない場合でも、色を統一するだけでスタイリッシュな印象になるでしょう。
・観葉植物
玄関のアクセントとして、観葉植物を置くのもおすすめです。観葉植物と上がり框は相性がよいので、置いておくだけでおしゃれに見えます。
背の高いものや小ぶりなもの、葉の形にこだわり、個性的な玄関をつくりましょう。
・エコカラットで玄関のにおい対策も
上がり框のまわりをおしゃれに演出しても、玄関内に嫌なにおいがこもっていると台無しです。さり気なくできるにおい対策として、エコカラットを取り入れてみましょう。エコカラットは調湿と脱臭機能のあるタイル状の仕上げ材で、多くの種類から好きなものを選べます。
毎日使う場所だからこそ、見えない部分もしっかり対策して心地よく使いましょう。
■おしゃれな上がり框実例!
最後におしゃれな上がり框の実例をご紹介いたします。
・曲線のある上がり框
上がり框は直線だけだと思っていませんか?
あえて曲線にすることで、やわらかい印象を与えることができます。
来客の多いお宅や、お子さんがいる家庭には曲線タイプの上がり框もおすすめです。
・框と床材を変えてみる
アートリフォームの床材と変えてみた上がり框の実例(中古木造)
上がり框は廊下の床材と同素材、または似た素材で作られるのが一般的です。
しかし、全く別の素材を使うとアクセントが生まれます。
玄関の床材に白い素材を使っている場合なら、上がり框に黒やメタリックの素材を使うことで全体の雰囲気が引き締まります。
「今まで意識していなかった」という方は、上がり框の大切さや役目についてご理解いただけたでしょうか?
上がり框は玄関の顔として、来客だけでなく日々の生活に関わっている大切な部分です。
アートリフォームでは上がり框のリフォームも承っております。
おしゃれな玄関にしたい方はまず上がり框を変えてみませんか?