リノベーションで使えるローンの種類は?負担を減らすローンの活用術を解説!
リノベーションには主に2パターンあり、持ち家を改修するケースと購入した中古物件を改修するケースに分かれます。どちらもまとまった費用がかかるため、ローンを利用するのが一般的です。
今回は、リノベーションで使えるローンの種類を紹介します。ローンの特徴を把握して、リノベーションの負担を減らしましょう。
■リノベーションをする際のローンの選択肢
リノベーション費用の工面には、「リフォームローン」や「住宅ローン」が利用可能です。以下でそれぞれ詳しく解説します。
・リフォームローン
リフォームローンは、自宅の増改築や設備の修繕などを目的としたリフォーム工事のために利用できる融資です。
無担保型と有担保型があり、無担保型は有担保型に比べて借入限度額が数十万〜1,000万円程度と低く、返済期間は15年以内、金利は高めです。そのため審査に通りやすく、小・中規模のリノベーションに向いています。
一方、有担保型は借入限度額が高めであることに加えて返済期間は長く、金利も低めに設定されているのが特徴です。住宅ローンに近い性質をもっており、大規模なリフォームを行うのに適していると言えるでしょう。
・住宅ローン
住宅ローンは、自分や家族が住むための住宅を購入する際に利用できる融資です。中古物件の購入とリノベーションを同時に行う場合に、費用をまとめて借りられます。
基本的に購入した物件を担保とするため、審査に時間がかかるものの数千万円単位の高額借入が可能です。特に住宅は日常生活において必要性が高いので、取得しやすいよう低金利に設定されています。
■そもそもローンとは?
ローンは、一般的に必要な資金を借り入れ、一定期間内に少しずつ返済する金融取引を指します。リノベーションなど大きな費用が必要になったとき、手元の資金ではカバーしきれない分を調達する手段の一つです。
ただし、借入金には利息が発生するため、返済する際には借り入れた金額に利息を加えて返済します。借入金に対する1年間の利息の割合が金利です。
・金利
ローンは金利の適用方法によって、以下の3つのタイプに分かれます。
<変動金利型>
変動金利型のローンは、市場金利と同タイミングで年に2回金利が見直されるので、返済額が変わる可能性もあります。
最大のメリットは、市場金利が下がると返済額も下がることです。反対に、市場金利が上がると返済額も上がる点はデメリットと言えるでしょう。
<固定金利期間選択型>
固定金利期間選択型は3年や5年など、契約時からの一定期間は金利が固定され、期間終了後に金利条件を変動型か固定型の2種類から選択できます。
メリットとして、金利が固定されている間は返済額も変化するリスクはありません。また、優遇金利が設定されている商品もあります。
デメリットは、金利の固定されている期間に市場金利が低下しても金利は変更されず、そのままの金利で返済を続ける必要があることです。また、固定期間終了後、金利が大きく上昇するリスクも考えられます。
<全期間固定金利型>
全期間固定金利型は、借り入れから完済までの間、一定の金利で固定されるタイプのローンです。名前の通り金利が固定されているので、不安定な返済を避けられるのがメリットと言えるでしょう。
デメリットは、変動金利型に比べて金利が高いことです。また、市場金利が下がっても返済額はそのままなので、負担を最小限にするためには借り換えの検討も必要になるでしょう。
・返済方法
ローンの返済方法は、元利均等返済と元金均等返済の2つがあります。
<元利均等返済>
元利均等返済は、借入金(元金)と利息の合計を調整して、毎月の返済額を一定にする返済方法です。
予算を管理しやすいのがメリットである反面、元金均等方式よりも総返済額が多額になるというデメリットがあります。
<元金均等返済>
元金均等返済は、借入金(元金)を返済回数で均等に割り、支払いの都度、利息を計算して上乗せする返済方法です。借入残高が減るにつれ利息も減少するので、返済額も少なくなっていく特徴があります。
また、総支払利息を抑えられるのもメリットですが、支払い当初の負担が大きい点はデメリットとも言えるでしょう。
■リフォームローンと住宅ローンのどちらが向いている?
まずは、リフォームローンと住宅ローンのメリットとデメリットをそれぞれ確認しましょう。
・リフォームローンのメリットとデメリット
リフォームローンには無担保型と有担保型がありますが、ここでは利用割合や金融機関での取扱商品数が多い、「無担保型リフォームローン」のメリットとデメリットを解説します。
<メリット>
リフォームローンのメリットは、住宅ローンに比べると審査に通りやすいことです。また、融資に担保が必要ないことや借入限度額の設定が低めになっていることも、主な理由に挙げられるでしょう。
手続きが少ないうえに審査期間は1日~1週間程度と短いことから、迅速な対応が期待できます。
<デメリット>
リフォームローンのデメリットは、住宅ローンに比べて借入金利が高いことや借入可能な限度額の低さにあると言えます。場合によっては、必要な資金をリフォームローンだけで工面できないことも考えられるでしょう。
また、借入期間が最大でも15年程度しかなく、期間が短いほど1回に支払う返済額も大きくなるので、慎重に返済計画を立てなければいけません。
・リフォームローンがおすすめのケース
リフォームローンのメリットとデメリットから、以下のようなケースにおすすめです。
● 住宅ローン完済後のリノベーション
● 費用が比較的少額なリノベーション
● 部分的なリノベーション
・住宅ローンのメリットとデメリット
住宅ローンは住宅取得を支援するためのローンですが、リノベーションに活用できるケースも多い傾向にあります。ここでは、リノベーションに住宅ローンを利用する際のメリットとデメリットを見ていきましょう。
<メリット>
住宅ローンを利用するメリットの一つは、借入限度額が大きいことです。そのため、リフォームローンでは難しい中古物件の購入と大規模なリノベーションを、一括でまとめて行えます。
金利が低く、一般的に30~35年程度と長期間の返済が可能なため、リノベーション費用を分散して返済でき、月々の負担を軽減できるのも魅力です。ただし、実際にいくらまで借り入れできるのかは、融資先の審査基準や借り手の収入、返済能力などで変わります。
<デメリット>
デメリットには、リフォームローンに比べて審査が厳しい傾向にあります。また、審査自体に時間がかかり、通常でも2週間以上、長いときは1か月を越えることもあるでしょう。
他にも、住宅ローンは物件を担保とするため、その物件の評価が必要です。このとき評価されたものが金額に反映され、住宅ローンの融資額や金利に影響を与えます。ただし審査結果によっては、借入可能額が希望する金額に満たなかったりローンが組めなかったりします。
・住宅ローンがおすすめのケース
リノベーションで住宅ローンをおすすめするケースは、以下の通りです。
<中古住宅を購入してリノベーションをする>
中古住宅を購入してリノベーションをする際、住宅ローンとリフォームローンを併用する二重ローンと、住宅ローンにリノベーション費用を組み込む方法があります。
一般的に、住宅ローンにリノベーション費用を組み込むほうが、諸費用を抑えられるのでおすすめです。最近では中古物件の人気の高まりから、住宅購入費とリフォーム費用をまとめて借りられる「リフォーム一体型ローン」も登場しています。
<持ち家をリノベーションする>
持ち家をリノベーションする場合、持ち家のローン残高の有無によって借り入れ方法が変わります。
【ローンが残っている場合】
住宅ローンが残っている場合のリノベーションは、新たな住宅ローンへ借り換えを行うのが一般的です。
新たにリフォームローンを申し込む方法もありますが、住宅ローンの残高があると審査に通過しにくくなる可能性もあるでしょう。また、リフォームローンは金利が高いため、返済金額の総額が高額になるケースもあるようです。
多くの場合、住宅ローンを借り換えるほうが支払いの負担を減らせますが、ローンを組んで間もない場合は、かえって損をする可能性も否めません。現在の住宅ローンの金利、返済期間、借入金額、残債などを把握し、借り換え後のメリットを見極めることが大切です。
【完済している場合】
基本的に、住宅ローンはリノベーション費用のみの借り入れを受け付けていません。一部の金融機関では対応する商品もありますが、通常の住宅ローンとは異なる点が多いので注意が必要です。
■ローンの申し込みに必要な書類
住宅ローンの事前審査・本審査・契約時での必要書類は、金融機関によって異なります。一般的には以下のようなものが必要です。
・事前審査での必要書類
事前審査は、借り手の返済能力や信用度などを評価するために行われます。
必要な書類 | 詳細 | 入手先 |
事前審査申込書 | 必要事項を記入する | 金融機関 |
本人確認書類 | 運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、パスポート、特別永住者証明書など | 本人 |
収入証明書類 | 給与所得者:源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書など
個人事業主:確定申告書、納税証明書など 法人代表者:決算報告書、源泉徴収票など |
勤務先
市町村役場 税務署 |
物件確認書類 | 物件のチラシ、間取り図、リノベーション間取り図など | 不動産会社
建築事務所 |
借入状況を示す書類 |
償還予定表、残高証明書、返済口座通帳のコピーなど | 本人
借入先 |
なお、家族の収入を合算する場合など、状況に応じてさらに金融機関から書類を求められることがあります。
・本審査での必要書類
本審査では、上記の書類に加えて新たに書類が必要です。
必要な書類 | 詳細 | 入手先 |
本審査申込書 | 必要事項を記入する | 金融機関 |
団体信用生命保険申込書兼告知書 | 団信に加入する場合 | 金融機関 |
本人確認書類 | 住民票、印鑑証明など | 市町村役場 |
収入証明書類 | 給与所得者:前年の源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書など
個人事業主:確定申告書、納税証明書など 法人代表者:決算報告書、源泉徴収票など |
勤務先
市町村役場 |
物件確認書類 | 売買契約書、重要事項説明書、物件の概要書、登記事項証明書、間取図、リノベーションの設計図面、リノベーション見積書、工事請負契約書など
戸建ての場合は建築確認済証および検査済証 |
不動産会社
建築事務所 |
・契約時の必要書類
契約時には借入契約関係書類がメインですが、再度、本人確認書類も必要です。
必要な書類 | 詳細 | 入手先 |
借入契約関係書類 | 金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書、保証委託契約書(保証会社を入れる場合) | 金融機関 |
本人確認書類 | 住民票、運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、在留カード、特別永住者証明書など | 本人 |
融資金の振込口座情報 | 入金口座の通帳 | 本人 |
・リフォームローンの必要書類
以下は、無担保型のリフォームローンに必要な書類の一例です。
必要な書類 | 詳細 | 入手先 |
本人確認書類 | 住民票、運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、特別永住者証明書など | 本人 |
収入証明書類 | 給与所得者:源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書など
個人事業主:確定申告書、納税証明書など 法人代表者:決算報告書、納税証明書など |
勤務先
市町村役場 |
資金使途証明書類 | 工事請負契約書、見積書など | 建築会社 |
■ローンを申し込む流れ
住宅ローンとリフォームローンの一般的な申し込みの流れは、次の通りです。
・リフォームローンの場合
- リノベーション会社の現地調査やプランの提案など
- リフォームローンの事前審査を申し込む
- リフォームローンの本審査を申し込む
- リノベーションの工事請負契約を締結する
- リフォームローンの金銭消費貸借契約を締結する
- 工事が完了次第報告する
・住宅ローンの場合
- 中古物件を探す
- 住宅ローンの事前審査を申し込む
- 中古物件の不動産売買契約を締結する
- リノベーションの工事請負契約を締結する
- 住宅ローンの本審査を申し込む
- 住宅ローンの金銭消費貸借契約を締結する
- 中古物件の引き渡し
- リノベーション工事
■リノベーションの資金計画の立て方
ここでは、中古物件を購入してリノベーションする際の資金計画の立て方について解説します。
・資金計画の基本的な考え方
返済計画のポイントとなるのは、「借りられる額」と「返済できる額」です。2つを正確に把握することで、自分に合った借り入れプランを立て、返済計画を適切に行うことができます。一般的に借りられる額は年収の7~8倍と言われているので、借入金額はこの範囲内に納めましょう。
返済できる額は、月額を基準に逆算していきます。返済額が月額ベースの場合が多く、収入も大抵は月単位で発生するためです。
たとえば、毎月80,000円を返済できる場合、全期間固定金利1.5%として、25年間支払うとおおよそ2,000万円(支払総額は2,400万円)の借り入れが可能です。35年間では、約2,612万円(支払総額3,359万円)と計算できます。
・資金計画の内訳を決めていく
リノベーションで必要な資金は主に物件費用、諸費用、リノベーション費用の3つです。
<物件費用>
物件には、エリアや広さ、築年数を要素とした相場があります。相場はその時々の価値を示すものなので、自分の予算と合うかどうか必ずチェックしておきましょう。相場とかけ離れた条件で物件を探しても簡単には見つかりません。
<諸費用>
中古物件取得の諸費用は、物件価格の1~1.5割ほどを想定します。不動産の売買には、仲介手数料をはじめ、ローン保証料、火災保険料、登記費用、印紙税などがかかります。
<リノベーション費用>
リノベーションの費用は施工平米数を一つの目安としています。1m²は、1m×1mの面積(=1m²)です。
すべて解体してスケルトン状態からリノベーションする場合、60m²で900~1,100万円、70m²なら1,100~1,300万円、およそ50畳となる80m²では1,300~1,500万円を目安にします。
・ローンの申し込みはスピードが大事!
まず、「ローン申し込みはスピード命」であることを念頭にいれておきましょう。物件の取得は早い者勝ちです。時間が経つほど、他の人に買われてしまう「買い逃し」のリスクが高まります。慎重に検討することも大切ですが、人気の物件ほどスピードも意識しましょう。
■まとめ
リノベーションは高額な費用が必要なため、リフォームローンや住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、金利や返済方法が複雑で、どの商品を選んだら負担を減らせるのかわかりにくい面もあるでしょう。リノベーションに関するお悩みは、ぜひ、アートリフォームにご相談ください。プロの視点で適切なアドバイスを差し上げます。