【リノベーション費用】一般的な予算の内訳や施工例をご紹介
リフォームに比べると、リノベーションは「現在住んでいる家をバージョンアップさせる(付加価値をつける)」という意味合いが濃くなります。その分費用が高くなるので、どのくらいの予算でどんな施工ができるのかを把握しておくことが大切です。今回は、費用の内訳や、費用に関連するファクター、予算別にできる施工例などをご紹介いたします。
■スケルトンリフォームとリノベーション
「スケルトンリフォーム=リノベーション」と思っている方も多いのではないでしょうか。
スケルトンリフォームとリノベーションにはきちんと違いがあります。
具体的にどのような違いがあるのかをご説明いたします。
・スケルトンリフォームとリノベーションの違い
リノベーションは建物や住宅の性能を向上させて、より価値のある住宅にして住みやすくすることを目的にしています。
一方、スケルトンリフォームは建物の基礎や骨組みを残した状態から「元に戻す」ということを目的にしています。
新しく価値が付与されているものはリノベーションになり、以前と変わらぬ生活を送れるようにすることはスケルトンリフォームになります。どちらも大規模な工事であることが多いので、混同されがちになっています。
・費用や工期について
費用や工期には違いがあるのでしょうか。
こちらでスケルトンリフォームとリノベーションの例をご紹介します。
<スケルトンリフォームの場合>
中古マンションの場合 坪単価25万~50万円程度
戸建ての場合 坪単価50万~80万円程度
<リノベーションの場合>
中古マンションの場合 坪単価20万~50万円程度
戸建ての場合 坪単価30万~70万円程度
戸建ての場合、どちらの工事も内装だけでなく屋根や外壁といった外装部分も手を加えるためマンションに比べて割高になります。
工期は内容によって異なるので一概にはいえませんが、どちらの工事もおおよそ1ヶ月から半年くらいが目安となります。戸建は外装部分の施工に時間がかかるため、工期が若干長くなります。
■リノベーションに必要な費用
リノベーションにはいくらくらいのお金が必要なのか気になりますよね。
実は条件によって必要な費用が変わるため、はっきりとした金額を出すことはできません。
まずは大まかにリノベーションにかかる費用の内訳を見ていきましょう。
・費用の内訳
リノベーションに必要なお金は、大きく次の3つに分かれます。
①物件購入費
これから物件を購入する場合に、注意しておきたいのが購入費用以外にも仲介手数料や登記代、税金といった諸経費がかかるということです。決して安い金額ではないので、物件購入前にしっかり確認し、いくら必要となるのか計算しておきましょう。
すでに物件を購入している場合や、親から引き継いだ建物がある場合は不要となります。
②施工費用
実際のリノベーション費用です。リノベーションの工事と言っても、骨組みだけ残して全て解体してしまうスケルトンリフォームから、部分的に行う小規模なリノベーションまで規模は大小様々です。自分の目的と予算を明確にし、リフォーム業者としっかり話し合うことが、リノベーション成功のカギとなります。
ほかにも仮住まいの家賃や引っ越し費用、工事開始にあたって近所への挨拶回りで渡す手土産代なども頭の片隅に置いておきましょう。
③住居費用
リノベーション終了後、新生活にともない発生する費用です。住まいを移る時の引っ越し費用や、新しく家具や家電を揃えるための費用、固定資産税などの税金、手数料などが含まれます。
リノベーションには大きな費用がかかりますが、住宅ローンやリフォームローンを利用することが可能です。毎月の返済額や返済にかかる金利などをよく検討し、無理のない金額を設定しましょう。
■費用にかかわるファクター
先述で「内容次第で金額が変わる」とお伝えしましたが、具体的な項目を知りたいですよね。以下の項目が予算を左右するファクターです。予算を決めるうえで参考になれば幸いです。
①部屋の広さ
リノベーションを行なう部屋の面積を指します。施工面積の大きさ、または部屋数の多さにともない、設備費用や建材、手間賃が増します。リノベーション費用は工事の規模だけでなく部屋の広さにも比例するということを知っておきましょう。
②設計(間取り)
内装デザインにこだわったり、間取りを変更したりすれば、使う資材は増えていきます。例えば、「子供部屋を作りたい」といった場合、新たに壁を設置して間仕切りをする必要が出てきます。
大きく設備を移動するようなデザイン変更や間取りの変更は、リノベーション費用に大きな影響を与えます。
③建物の階数
リノベーションをする建物がマンションの高層階であるなら、資材を運搬するための費用が余分に発生します。また旗竿地や前道路が狭い一戸建ても同様のことが言えます。
④エリア
実は地域によってリノベーション費用は変わります。その土地ごとに人件費や材料費、工賃に差があるからです。一つひとつの金額は小さくても、積もりつもれば大きな金額になります。予定している地域のリノベーション相場を目安で知っておきましょう。
・リノベーション費用を抑える方法は?
リノベーション費用を抑える方法で代表的なものを3つご紹介いたします。
<設備のグレードを下げる>
設備に優先順位をつけ、妥協できるものとできないものを分けておきましょう。
絶対に必要なものとそうでないものがはっきりしていれば、設備のグレードをどこまで上げるのか、または下げるのかが決めやすくなります。
設備のグレードはリノベーション費用に大きく影響するため、妥協できるところは思い切って諦めることも大切です。
<既製品を取り入れる>
「部屋のサイズに合わせたい」「デザイン性が高い好みの家具を取付けたい…」
そうなると新たに家具を作らねばならないため、費用が大きく膨れ上がってしまいます。
オーダー家具はでき上がったときの印象がイメージと異なる場合や職人の腕によって差が出やすいという問題がありますが、既製品の家具は品質が安定しているので結果的にコストが抑えられます。既製品でもデザインやサイズが豊富なので、上手に取り入れることでリノベーション費用を抑えることができます。
<助成金などを利用する>
助成金などを使うことでリノベーション費用の一部を賄えることがあります。
たとえば浴室に滑り止めや手すりを付けることでバリアフリーの助成金を受けることができます。詳しくは各自治体の窓口にお問い合わせください。
また、ローンを組むことで計画的な返済が可能になります。有担保型と無担保型があるので、条件や経済状況に合わせて利用を考えてみることをおすすめします。
・リノベーションを成功させる考え方
リノベーションを成功させるには、費用を抑えること以外にも考えておきたいことがあります。
<ランニングコストを考える>
値段だけで建材や設備を決めると、メンテナンスに手間や時間がかかったり、すぐに次のリフォームが必要になったりと後悔することもあります。安心して長く暮らしたい場合は、リノベーションの費用だけでなくランニングコストについても考えておきましょう。
<今の間取りを活かす>
リノベーションで間取りを変えることもできますが、間取りの変更によって大きく費用が上がってしまうことがあります。特に水回りの移動は配管工事などが必要になるためコストがかかりがちです。今の間取りをできるだけ活かすことを考えてみましょう。
施工会社に相談すると、制限のある間取りでも以前より暮らしやすくなるようプロの目線からアドバイスをもらえます。
<部屋ごとの役割について考える>
リノベーションをする際、「子ども部屋は広めに」と考えることもありますよね。
しかし、家は家族が成長して巣立ってからも同じ間取りで暮らし続けます。
リノベーションで子どもに合わせた部屋をつくるよりも、成長と共に変えていけるようにしておくほうが部屋を有効活用できます。
また、リビングなど来客をもてなす場として使用する場合は、他よりも少しだけ費用をかけるなど、部屋ごとの役割を考えましょう。
■リノベーションで利用できる補助金制度の種類
リノベーションをする際に利用できる補助金制度をいくつかご紹介いたします。
・国や自治体が行う補助金制度
以下は、過去に実施された制度の内容です。最新情報は、各事務局にお問い合わせください。
<住宅エコリフォーム推進事業>
既存住宅を、ZEHレベルにリフォーム・リノベーションした場合に申請できます。
新築や注文住宅以外の全世帯が対象で、
診断や設計にかかった費用の1/3、工事は512,700円を上限に11.5%(戸建ての場合)が上限でした。
<既存住宅における断熱リフォーム支援事業(旧断熱リノベ)>
リフォームやリノベーション時で高性能建材などを使用し、一定以上の断熱効果が確認できる場合に利用できます。
新築や店舗、事務所以外が対象で、かかった費用の1/3以内、戸建ては最大120万円が限度額でした。
<次世代省エネ建材実証支援事業>
高性能断熱材などを使い、省エネ効率の高い家にする場合に利用できます。
対象は既存の戸建てや集合住宅で、工事にかかった費用の1/2以内が補助されました。
<長期優良住宅化リフォーム推進事業>
長く住み続けることを目的に、住宅性能を向上させるリフォームを行う際の補助制度です。
対象は既存の戸建てや集合住宅で、かかった費用の1/3が補助されました。
<こどもみらい住宅支援事業>
若夫婦世帯などが新築を取得する際の支援事業ですが、リフォームを行う場合は全世帯が利用できます。
補助額は、安心R住宅を購入してのリフォームが1戸あたり45万円、それ以外は最大30万円でした。
<介護保険制度>
要支援、要介護認定を受けた方が自宅をバリアフリー化する際、介護保険制度から費用の一部を補助金として受け取れます。
補助額は20万円を上限に、工事費用の7~9割です。
<自治体の補助金制度>
耐震や省エネなどに、独自の補助金制度を実施している自治体も多い傾向にあります。制度の内容や申請条件は自治体によって異なるので、窓口で問い合わせましょう。
・国や自治体が行う補助金制度を利用するときの注意点
制度を利用する際、申請のタイミングと締め切りの時期を把握しておく必要があります。
また、補助金制度の多くは、予算が上限に達した時点で受付を終了します。
毎年2次募集が行われているからといって、今年度も同じとは限りません。申請に間に合うよう、しっかり打ち合わせしましょう。
■2023年「住宅省エネ2023キャンペーン」が開始
新たに始まる補助金制度をご紹介いたします。
・住宅省エネ2023キャンペーンとは
これまでは省庁によって管轄が分かれていたため、申請時に併用はできませんでした。ただし、2023年から実施される「住宅省エネ2023キャンペーン」は、制度の併用が可能になります。
<先進的窓リノベ事業(住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業)>
全世帯が利用できる制度で、補助金の上限は200万円です。
対象となる工事は既存住宅の窓リフォームのみで、ドアは含まれません。
<こどもエコ住まい支援事業>
全世帯を対象にした制度ですが、若夫婦世帯などは補助額が優遇されます。
上限額は、子育て世帯と若夫婦世帯が45~60万円、その他は30~45万円です。断熱やエコ、バリアフリーリフォームなどを行う場合に利用できます。
<給湯器省エネ事業(高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金)>
エネルギー消費量が多い給湯器を、性能のよい製品にリフォームした場合に適用可能です。
補助額は製品の機能ごとに分かれ、5~15万円が受け取れます。全世帯が対象ですが、台数制限などの条件が設けられています。
■中古マンションのリノベーションが人気!
あえて中古マンションを購入し、リノベーションをする方が増えています。その魅力と、どんな工事ができるのかをご紹介いたします。
・中古マンションをリノベーションするメリット
中古マンションを選んでリノベーションをする場合、以下のメリットが挙げられます。
<理想を叶えられる>
中古マンションをリノベーションする最大のメリットは、コストを抑えて理想を叶えられる点です。内装や設備の一つひとつを自由に決められるので、こだわりを詰め込んだ理想の暮らしを実現できます。
<費用を抑えられる>
マンションは、築年数に比例して価格が下がります。
なかでも築20年ほどのマンションは価格が安定しており、また同じ条件の築浅マンションよりも手頃なため、「物件購入費の浮いた分をリノベーション費用に充てられるのでお得」と考える方も多いようです。
<物件の選択肢が増える>
中古マンションは物件数が多いので、希望の物件を絞ってじっくりと見比べられます。
さらにリノベーションを前提とするなら、最低限の条件が合致していればよいので、選択肢は大幅に広がるでしょう。
・どんなリノベーションができる?
具体的な例としては、内装の張り替えや間仕切りの撤去、水回り設備の交換、収納の増設などが挙げられます。
特に内装の張り替えや間仕切りの撤去は、部屋の雰囲気を一新できるほか、広々とした空間に仕上げられるので、おすすめです。
しかし、マンションのリノベーションができる範囲は専有部分のみで、窓や玄関ドア、バルコニーなどの共有部分は手を付けられません。また、専有部分でも、使用できる素材や工事の内容を制限されるケースもあるので、注意が必要です。
とはいえ、リノベーションの方法によっては希望が叶う場合もあるので、叶えたい理想があるなら妥協せず、まずはリフォーム業者へ相談してみましょう。
・費用は工事内容によって大きく変動する
あくまで目安ですが、中古マンションを購入してリノベーションをする場合の平均費用はおよそ517万円です。
内容によっては1,000万円以上かかるケースもありますが、その多くは間仕切りの撤去をはじめ、配管・配線工事を伴う大規模なリノベーションか、設備や仕上げのグレードにこだわった場合などが挙げられます。
なお、予算を超えてしまいそうな場合は、工事箇所を減らしたり、人目に付かない部分の費用を抑えたりなどの工夫を取り入れてみてください。
■中古マンションを選ぶ際に確認すべきこと
リノベーションをする前提でも、マンションの深層部分はしっかりと確認しましょう。
中古マンションを購入する際のポイントをご紹介いたします。
・物件の状態
水回りの配管が古いと水漏れを起こしたり、また壁紙の下にカビが発生していたりする可能性が考えられます。
そのため、購入前に住宅診断をして、現状を把握しておきましょう。また、給排水管のあるパイプスペースの場所は、水回りの工事に影響します。
特に水回りを移設したい場合は、よく確認してください。
・共用部分の管理体制
先述の通り、共有部分はリノベーションできません。そのため、これから家族が快適に暮らしていけるよう、保守管理が行き届いているかもチェックしましょう。
・周辺環境
周辺の駅や公共施設、商業施設、医療機関の数と距離などのチェックも重要です。可能であれば、時間帯ごとの様子も把握しておくとよいでしょう。
・築年数/耐震性能
また、築20年ほどの物件は、新耐震基準に基づいて建てられているため販売されている中古マンションもあります。
しかし、この場合は物件の価格に工事費用が加算されている傾向にあるため、リノベーションを前提に購入するならリフォームやリノベーションの有無も確認しましょう。
リノベーションの規模によっては求めるマンシ状態でョンの状態も変わるので、どのような雰囲気に仕上げたいのか、ビジョンを明確にしておくことも大切です。
■予算別!リノベーション施工中古のマンションを購入するなら、築20年を目安に物件を探しましょう。将来手放すとしても、購入時と変わらない価格で売却できるケースもあるので、築浅マンションを購入するよりもお得です。、震度7クラスの揺れにも耐え得る強さを備えています。
なお、耐震性については、マンションの修繕履歴や修繕計画表で確認できます。
・リフォーム/リノベーションの有無
なかには、リフォームやリノベーションをした例
最後に予算別にみた一般的な施工例をご紹介いたします。設備グレードや内装デザイン、建材により金額は変わりますので、あくまで目安としてお考えください。
・500~800万円
水回り(キッチン、浴室、トイレ)の交換や増設、それに伴う排水管と配線工事。また大きな間取り変更をせず和室を洋室にして一つに繋げる、といった工事内容なら500~800万円の費用で行えます。二世帯住宅への建て替えが難しい場合におすすめのリノベーションです。
・800~1,000万円
この価格帯であれば、水回り設備の一新に加えて間取りの変更やキッチンの移設、部屋の増設も行うことができます。また内装デザインにこだわることもできるので、カフェのようなおしゃれな空間や、アンティーク調の落ち着いた住まいなど、独創性のある住まいづくりを目指せます。
・1,000万円以上
スケルトンリフォームも可能な価格帯です。大規模な間取り変更はもちろん、家の安全性や省エネ性が高い高機能住宅に作り替えることも可能になります。浴室や洗面台をユニークなデザインのものに作り替えたり、またホームシアターといった趣味の部屋を増設したり、思い描く憧れの住まいを実現することが可能でしょう。
フルリフォームで全く新しい住まいに作り替えるのも良いですが、既存の設備をいかに活かすかを考えると、リノベーションの可能性は広がります。築30年以上の中古物件が持つ味わいを上手く活かせば、モダンな家に生まれ変わります。
家族でどんな家にしたいのかをよく話し合って居心地のよい住まいを創造してください。リフォーム会社の過去の施工事例も参考になりますよ♪
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